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電子書籍名言・引用まとめ

街道をゆく 26 嵯峨散歩、仙台・石巻

司馬遼太郎

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嵯峨には、湯豆腐の店が多い。はじまりはこの妙智院である。寺の収入を観光やあやしげな供養でまかなうよりも、湯豆腐でまかなうほうが、はるかに宗教的といえる。鍋の中で煮えているのは「森嘉」の豆腐で、あれやこれや思えば、日本文化を食っている気がしてくる。

日本では、幕末の書簡史料がじつに多い。奔走家たちが京にあつまって、協議をし、議論をし、密談などもした。しかしどの程度、口頭言語で表現されたかとなると、じつに心もとない。かれらは止宿さきが隣同士でも、書簡を往復させた。口語では、大正以後の新劇の舞台でやっているような対話ができないためである。そのため、書簡が多く遺った。

(これが、甲斐の富士か)  と、その端正さに息をのむ思いだった。甲斐から見る富士は美しすぎるほどだときいていたが、これほどまでとはおもわなかった。太宰治は『富嶽百景』のなかで甲斐の御坂峠から富士を見、そのあまりにも御誂えどおりの姿に「狼狽し、顔を赤らめ」たあげく「どうにも註文どほりの景色で、私は恥づかしくてならなかつた」と身もだえしている。この富士は、ほぼその角度からの富士である。

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