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電子書籍名言・引用まとめ

翔ぶが如く(二) (文春文庫)

司馬遼太郎

Quotes List

軍隊をもって天皇の私兵であるかのごとき印象をあたえしめている。山県がこの勅諭を実現せしめたのは、陸軍大将西郷隆盛の乱がふたたびおこらぬようにというむしろ軍人に対する道徳的説諭を目的としたものであったが、昭和期に入ってこの勅諭が政治化した軍人をして軍閥をつくらしめ、三権のほかに「統帥権」があると主張せしめ、やがて統帥権は内閣をも議会をも超越するものであるとして国家そのものを破壊せしめるもとをつくった。

国権主義は山県がまず種をまき、大久保がそれを苗にした。やがて西郷・大久保・木戸の死後、権力を得た山県がおもう存分にふるまってそれを鬱然たる大樹に仕上げてしまったのだが、この国権主義というのは、国民を国家という鋼鉄のたがで締めあげ、締めあげることによって近代国家を速成でつくりあげようとする思想で、結局はこれが日本国家をつくり、太平洋戦争の敗北によって敵国から打ちくだかれるまでつづく。

山県は軍隊と警察を好んだが、警察の創始者であり、山県にとって原型の一人である川路利良のポリス思想を好まなかった。市民へのサーヴィスというフランス式をあらため、明治十八年ドイツから顧問をまねき、国家の威権の執行機関としてのドイツ式の警察に切りかえた。

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