本を書くこと自体にかかった時間は1年弱だが、データを集めるのには15年ほどかかっている。これは20以上の国、3世紀にわたる「所得と資産の歴史」の本だ。
不平等の是正には資産への累進課税だ
80年代に入ると、再び不平等が拡大する傾向が現れた。今後を長い目で見ると、資産の不平等は能力に応じて報酬を受けるという能力主義の理想とは程遠いレベルにまで拡大するおそれがある。
本書では、三つの重要な点を指摘しています。(1)経済成長率よりも資本収益率が高くなり、資本を持つ者にさらに資本が蓄積していく傾向がある、(2)この不平等は世襲を通じて拡大する、(3)この不平等を是正するには、世界規模で資産への課税強化が必要だ、ということです。
不平等化の予言が実現し始めている、というのがトマ・ピケティが「資本主義の根本的矛盾」と呼ぶ数式
株や不動産、債券などの投資によって獲得される利益の成長率は、労働によって得られる賃金上昇率を上回る、ということ。