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電子書籍名言・引用まとめ

プリンセス・トヨトミ (文春文庫)

万城目 学

Quotes List

ことが終わってから、少年は帰宅した。大阪城で見聞きしたことを、誰かに言おうとは思わなかった。父親はいつもどおりくたびれたスーツを身に纏い、少年より少し遅れて家に帰ってきた。少年の祖父は三年前、他界していた。いつか自分に訪れる日のことを思ったとき、少年の胸は驚くほどきりりと痛んだ。

彼らがどれほど地面を掘り進めようと、その努力はさながら泥の底を浚うようなものだった。周囲の「事情を知る」者の曖昧な誘導に引っ張られ、穴は掘った先から埋められ、最後に残るのは疲労感だけだった。ただ、そのうちの一人、二十六歳の地下鉄運転手は、「いつか、嫌でも知る日が来るんとちゃうかな」とベテランの運転手がどこかさびしそうな顔でつぶやいた言葉が、なぜか今でも強く心に残っている。

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